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広島市民球場

■呼称:MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島
■住所:広島県広島市南区南蟹屋2-3-1
■オープン:2009年4月1日
■収容人数:33000人(固定席30500人)

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老朽化の激しい広島市民球場に変わる新しい施設として、広島市が主体となって構想を進めていたが、当初は当時流行していたドーム球場建設が考えられ、 建設場所として広島市南区東駅町の東広島貨物駅貨物ヤード移転跡地を取得していた。
ドーム構想は広島市の財政問題もあって下火となるが、新球場の建設事態は話が進められ、 2002年には2004年建設着手、2007年オープンを目指し、総天然芝オープン型球場建設を核にした再開発計画が正式決定。 しかし、中核企業の撤退を受けて計画は全面的に白紙化、頓挫した。
その後、球界再編問題に危機感を持った地元企業やマスメディア、ファンによって市民球場の改築案も含めて再検討がはじまり、 中々進まない議論を繰り返した結果、ようやく貨物ヤード移転跡地に新球場を建設する事で決定。 2006年8月には排水路工事を含めたインフラ整備が始まった。
設計コンペで決定されたデザインは、90年以降メジャーリーグで球場建設の主流となった「新古典主義」の考え方を取り入れ、2007年11月にようやく球場本体の建設が始まった。
ちなみに、約90億円といわれる球場建設費には、プロ野球開催に関わる諸施設の費用は含まれておらず、広島カープが約22億全額を別途負担して整備した。
■JR「広島」駅から徒歩10分

最寄り駅はJR「広島」駅。建設計画段階では交通が不便と言う声もあったが、中核駅であるJR「広島」駅を起点とするなら、むしろ旧市民球場よりも格段に便利になった。
駅からスタジアムまでは線路沿いに赤色の歩道が設けられ、所々に案内板も出ているのでまず迷う事はないだろう。


・長年待ち望まれていた新球場の設計案は、 「躍動する野球場から躍動する街創り」をコンセプトに、 屋根は躍動する鯉をイメージした天然芝のオープン球場で、事業費は89.1億円。 建設地は旧国鉄貨物ヤード跡地に決定した。


・2007年8月時の旧国鉄貨物ヤード跡地。まだ、球場本体の建設には着手しておらず、雨水貯留池工事が行われている。


・2008年6月時。何となくだが球場の形は出来始めている。
また、新球場のロゴが入ったペットボトル飲料も販売されていて、売上の一部が建設費に回されるらしい。



・駅からスタジアムへと向かうJR線路沿いの歩道は、赤色にカラー舗装されている。 また、試合開始、終了の前後一時間は道路も含めて歩行者天国とされ、多数の観客に対応している。
・フェンスには新球場の紹介やカープ栄光の歴史、現在活躍中の選手紹介するパネルが並び、観戦気分を盛り上げてくれる。








・歩道を抜けるとスタジアムまでは大型スロープ「広島市西蟹屋プロムナード」が設置されている。 メイン通路として内野スタンドに通じ、全長200mにも及ぶスロープを歩くとスタジアム全体が見えてくる。
・スロープにはエレベーターも設置され、バリアフリー対策もされている。



↑2008年頃の様子。この当時は球場周辺は閑散としていた。
・2015年、この駐輪場の場所に迎賓館が建設。なので、現在は光景を見ることは出来ない。





・スロープには2010年広島球団創設60周年を記念し、中国新聞社にて歴代の名選手について読者投票を行い、選ばれた17名の選手を『カープの星』と銘打って、そのレリーフを設置している。
ちなみに、広島カープ史上最高のレジェントと呼ばれる「山本浩二」「衣笠祥雄」の両選手は、その功績から無投票当選となり、2014年には「前田智徳」、2017年には「黒田博樹」が新たに加わった。









・一/三塁側に設けられた室内練習場&ブルペンは、一応球場外からも見学できる設計がされている。 ただ、残念ながら当然の様に幕が張られ、中を見る事は出来ない。
大体どの球場もそうだが、日本ではこういう設計がされても、選手の「集中できない。」という鶴の一声により目隠しされる。実に残念な事である。
・また、一塁側の外にはピッチングプレート&ホームベースも設置されている。




・広島カープの歴史や写真、歴代選手の手形がはめ込まれたモニュメントも設置されている。


・レフト場外の遊歩道には、球界初となる試みの無料観戦スポット「タダ見エリア」が誕生。 外野砂かぶり席の後方から金網越しにグラウンドを見る事が出来、売店も設置されている。

・2014年、球場北西の「広島ボールパークタウン」の一角に建設された室内練習場。 数年前から構想が持ち上がっていた同施設は鉄骨3階建で、45メートル四方の人工芝の練習場をはじめ、ブルペン4か所やロッカールームなどを併設している。



・室内練習場の側面、大型スロープ「広島市西蟹屋プロムナード」側には、球団の歴史も描かれている。

・また、2015年には被爆70年を迎えるにあたり、広島が被爆から復興した歴史と、カープ球団が誕生した当時の喜びを刻むことを目的とし、正面玄関横に「広島カープ誕生物語」のモニュメントも設置された。 銅像の周りにある敷石や瓦、レール、煉瓦等は実際に被爆したものを使用し、片隅には被爆して75年間は草木も生えないと言われた広島で、たったひと月余りで咲いた「カンナの花」も植えられている。




・球場正面にはオフィシャルグッズショップも併設している。
広々とした2階建の店内には、レプリカユニフォームをはじめとした応援グッズの他、お土産、日用品等、広島カープが取り扱う全商品が揃っている。


・2Fに上がる階段には巨大オブジェも。もちろんスタジアムに入場後も利用する事ができる。


・地元で人気のある“むさし”が、球場内唯一のレストランとして出店している。 スタジアム内からも利用できる他、試合の無い日も営業をしている。

・球場内をグルりと一周囲む全長600mのコンコースに内外野の仕切りはなく、 どのチケットを持っていてもグラウンドを様々な角度から見渡す事が出来、フィールドの選手を眺めることが出来る。
幅も内野12m、外野8mと広々とした設計で、広島区中区の本通り商店街とほぼ同じといわれている。





↑開場当時の様子。
 
・旧広島市民球場の名物だった「カープうどん」をはじめとした、バラエティ溢れる数多くの売店が用意されている。
・旧市民球場時代、ベースボール犬として親しまれ活躍し、2009年4月にこの世を去ったゴールデンレトリバー「ミッキー」の記念プレートがコンコース一塁側付近に展示されている。 ボールかごをくわえた愛らしい姿をこの球場でも是非見てみたかった。

・メインゲートのすぐ上、内野二階席とビジター外野二階席を結ぶ“ゲートブリッジ”。 ここにもテーブル席が設置され、グラウンドと広島駅方面の球場内外の両方を見渡せる開放的な場所となっている。


・2012年に誕生した「スポーツクラブ&スパ ルネサンス」。 世界で唯一の球場一体型スポーツクラブとしてオープンした同施設はライトスタンド後方に位置し、試合を観戦しながらトレーニングできるロケーション抜群の施設となっている。
・球場側の一階部分は試合開催日のみグッズショップがオープンする。

・↑以前の様子。
スポーツクラブが誕生する前、この場所にはインパクト十分のロング広告が設置されていた。 初年度は地元出身アーティストのユニコーンが掲出し、2010年からは変更になったが印象に残る特徴的な場所だった。





・2010年、スコアボール裏コンコースにパーゴラ(鉄骨の骨組み)が新設。設置初年度にはゴーヤと朝顔を配して「緑のトンネル」として潤いの空間が作られていたが、 2011年からはこれらに加えて竹原市特産の竹簾が取り付けている


・レフト側ウッドデッキ席付近には展示されていた外野フェンス。 球場と同じ高さ、同じ材料を使用したラバーフェンス2枚と打球に飛びつく等身大の天谷宗一郎人形が設置された。 また、全米でも話題になった天谷、赤松両選手のスーパーキャッチも人形で再現されていた。(2011年シーズン終了後に撤去済み)


・JR山陽線や新幹線に隣接したレフト後方には高さ32mの防球ネットが設置され、 打球が飛び出すのを防ぐと同時にジェット風船の飛散も防止している。





・バルコニー席下、レフトスタンド通路には、広島カープがこの球場で初勝利した時の記念プレートや、 輝かしい記録を残した選手のプレートが展示されている。
・外野砂被り席後方のただ見エリア。見づらさはあるものの、雰囲気は十分に感じることが出来る。





・二階にもコンコースがあり、売店も設置されている。人気のカープうどんは一階が混雑していても二階なら意外と並ばずに購入できたりする。

・ビジターパフォーマンススタンド背後には新幹線の乗客に向けた得点表示板があり、 イニングと得点のほか打者や投手の交代時には選手名を映し出す。乗客からは20〜30秒ほど見ることができ、新幹線の運行が終わる23時50分頃まで点灯されている。

・収容人数は33000人。
日本では数少ない左右非対称のスタンドで、他に類を見ない個性的な形状を持つ。
・グラウンドは中堅122m、右翼100m、左翼101m。
スタンドと同じく左右非対称で、 旧球場に比べると中堅が約6m、右翼が約9m、左翼が約10mも広くなった。
・数字上はレフト方向の方が広くなっているが、これはあくまでポール際の数字。
レフトスタンド側が直線状に配されているのに対し、 ライトスタンド側はなだらかな曲線を描いている為、全体ではライト方向の方が広くなっている。
・ファールゾーンが狭い為、スタンドとグラウンドの距離が非常に近く、 人工芝の球場が持たない、天然芝独特の匂いを感じる事が出来る。
・この球場最大の特徴といえば、内外野に張り巡らされた緑の天然芝。 熱さや乾燥に強い西洋芝で、旧市民球場よりも濃い緑色となり、 阪神甲子園球場と同じ「オーバーシード」と呼ばれる夏芝と冬芝の重ね植えを行う事で、 一年中鮮やかな状態を保てるように工夫されている。
・芝を植える厚さ約20pの床土は広島市安佐南区産の洗い真砂土を使用している。
・マウンドは足元の土が掘れ難くなるよう黒土と粘土質の赤土を混ぜ合わせ、石灰石を加えて堅く仕上げたメジャー仕様となっている。
・2015年までの内野の土は、旧広島市民球場から使用していた黒土と砂からなる混合土に、赤身の強いアンツーカーをブレンドしたものを使用していたが、 選手からの要望、及び天然芝との調和も考慮された結果、アンツーカー主体の配合に切り替えられている。

・内野スタンドは二層式。
傾斜は約9〜19度と旧市民球場の20〜30度に比べて10度以上緩やかになった為、 打者や内野手の動きをほぼ真横に見る事が出来るようになった。

・内野スタンド同様、緩やかな傾斜の外野スタンド。 もともと両翼以外の外野フェンスは約2.5mと低い上に、フェンス上段部分がパイプから金属構造になり視界も良好になった。
・外野フェンスの1.8mまでの部分は、選手の要望で厚さ13.5cmのソフトラバークッションでカバーされ、 フェンス際の思い切ったプレーをアシストしている。

・ライトスタンド下には冷暖房を完備した「スポーツバー(パーティスペース)」もある。 ライトフェンスの下を這う様に造られた縦0.6m、横15mのガラス窓「のぞきチューブ」や、 壁にめり込んだ巨大ボール、ライトスタンドに突き出した特大のスパイク(以前はバット)のオブジェ等、遊び心がいっぱい。 バットが突き刺さる天井部分には旧市民球場から見上げた空の写真が広がり、 故津田恒美投手を讃える「津田プレート」のレプリカも掲げられている。
ちなみに、以前は旧広島市民球場時代の座席を使用していたが、現在はソファーに変更された。

・ライトスタンドと三塁側スタンド上に設けられた二階スタンドは、 このスタジアムで唯一応援旗やトランペットの使用が許可されている。


・地上約57mの高さを誇る6基の照明灯は、一基あたり108個のランプが付き、10分程で点灯が出来る。 ランプも旧広島市民球場で使用されていた二色混合のカクテル光線に変わり、白一色になった。


 
・旧市民球場の面影を感じさせてくれるスコアボード。大きさそのものはほぼ同じだが、 広くなった球場サイズに合わせて大型映像装置の横幅が約二倍のパノラマ画面になった。
・バックネット裏スタンドの二階席先端部分には、 長さ57mの電光掲示板「LEDビジョン」も設置され、 球場の雰囲気作りに一役買っている。
 
・座席は全席個別席。全席にカップホルダーも完備している。
・全席で左右50p、前後85p以上のスペースが確保され、 足元も内野席で10p以上、外野席は15〜25p以上も広がり、席移動も容易になった。
 

 
・この球場には多種多様な座席が用意されている。
・内外野に5箇所ある「砂被り席」はグラウンドに限りなく近く、臨場感も抜群。
特に「正面砂被り席」はグラウンドより90p低く、ベンチと同じ目線で試合を見る事が出来る。 また、すぐ横はベンチで「集中力が乱れるので仕切りをして欲しい」という要望が出たほど近い。

・「内野砂被り席」はファールグラウンドの狭いこの球場ならではの、フェンス際の捕球や走者のスピード感を楽しむことが出来る。 また、選手と触れ合える可能性が最も高いのもこの席の特権といえる。
・レフトフェンス下に設置された「外野砂被り席」は選手目線で外野の飛球を確認できる他、 フェンス際のクッションボールを処理する選手を間近で見ることが出来る。
ただ、砂被り席の中では一番人気がない。

・スコアボードライト側の人工芝ゾーンには、 日本はもちろんの事、世界でも初の「寝ソベリア」シートが誕生。 真っ赤なソファクッションが置かれ、寝るなり、腰掛けるなり、自由なスタイルで観戦できる。

・試合を見ながら様々な催しができるパーティフロアー、 テラス席が多いのもこのスタジアムの特徴。
 
 
・その他にも多種多様なシートが用意され、色々な観戦スタイルを楽む事が出来る。 毎年少しずつ変化していくのも楽しみの一つだ。
オープンスタイルならではの開放感に、鮮やかな天然芝。
「野球は青い空の下、芝生の上でやるもの」、という原点回帰の傾向にあるメジャースタイルを積極的に取り入れた日本初の球場は、 想像以上に素晴らしいスタジアムだった。

また、現在進行型でスタジアムは変化し、訪れるたびに進化しているのも見逃せない点である。

向こうではオリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズの誕生を切っ掛けに、 この手のスタジアムが一気に広まったが、 日本独特の応援文化も考慮したこの球場が、今後の球場建設にどのような影響を与えるのか、非常に楽しみである。

作成日:2009/5/22
最終更新日:2018/8/22
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