2018 FIFA WORLD CUP RUSSIA
日本代表 アジア最終予選

2016.09.01 UAE戦
 -T-:運命のベルが鳴る 
 -U-:灰色の木曜日

2016.09.06 タイ戦
 -T-:タマホマレする男 
 -U-:危険な生存戦略
 -U-:勝てばよかろうなのだぁーッ!

2016.10.06 イラク戦
 -T-:あらしのあとで 
 -U-:死なない男


キリンチャレンジカップ2016

2016.11.11 オマーン戦
 -T-:限りなく“赤”に近いブルー

2018 FIFA WORLD CUP RUSSIA
日本代表 アジア最終予選

2016.11.15 サウジアラビア戦
 -T-:シン・二ホン 
 -U-:私はスキをあきらめない

2017.03.23 UAE戦
 -T-:アルアインに咲く華 
 -U-:イカレちまったぜー!
 -U-:Rock Over JAPAN

2017.03.28 タイ戦
 -T-:春雨ランデブー 
 -U-:鼓動の異味

2017.08.31 オーストラリア戦

 2016.09.06 タイ代表戦 -U-:危険な生存戦略


ゲートの前には大勢の観客が列を成し待ち構えていたが、開門と同時に列はどんどん進んでいく。 これだけスムーズに列が進むと、こちらとしては殆どストレスがかからない。 入場まで一時間かかった埼玉スタジアムとはえらい違いである。

これだけの大人数をスムーズに捌くこのシステム、予想以上に優れモノかもしれない。

また、厳重だと忠告を受けていた持ち物検査は、思っていた以上に『ザル』だった。
まぁ、ペットボトルは回収されてしまったが、ほとんど見ていないに近い状態だろう。
一応、持ち込みできないものとして一眼レフカメラもリストに入っていたので、私は自分のカメラをタオルマフラーで隠していた。 と、いうのも、私のカメラは一眼レフではないのだが、それなりに形状が大きいので勘違いされることが多い。 以前ドイツでも抗議したが認められず、持ち込みが出来ずに非常に面倒くさい思いをした。 もう、正直コリゴリである。
なので、それなりに警戒していたが、全く気にする必要はなかったようだ。

そもそも、その場で回収した持ち込み不可物は警備員の足物に置かれているのだが、 押し寄せる観客を捌くのに精一杯で後ろからこっそり取り返しても全く気付いていない。
現に、何人ものタイ人が回収されたペットボトルや傘を直ぐに取り返していた。

意味あるのか!?これ…。



入場ゲートを通過し、コンコースをぐるりと回る。
スタンドの入口で改めて持ち物検査とチケットCKを受け、赤色のスタンプを腕に押される。
階段を上り、1Fスタンドの入口の前に来ると、もう一度チケットCKを受け、今度は青色のスタンプを押された。 このスタンプを見せれば、もうチケットは見せなくても大丈夫らしい。

ちなみに、アウェースタンドは1Fが指定席、2Fが自由席という席分けがされていた。私の場合、元々自由席のチケットを購入したつもりだったので、 ちょっとラッキーだったと言える。



スタジアム内の撮影を終え、ゆっくりと寛いでいると、ピッチ上ではTV中継のリハーサルが始まった。

勿論、私の大好きな松木安太郎氏の姿も見える。

やっぱり、日本代表戦といえば松木氏である。 松木氏を見るだけで、日本代表戦の実感が沸いてくるし、氏の日本代表に対する愛情には心底敬意を抱いている。

リハーサルを終えた松木氏はスタンドに近づき、サポーターとの記念撮影&サインを始めた。
私も折角なので、タオルマフラーにサインを頂き、松木氏と固く握手をする。

これで私のタオルマフラーはただの日本代表タオルマフラーから“松木安太郎氏の魂入り”日本代表タオルマフラーに進化した。

これからの戦いは、このタオルと共に参戦していく。


試合開始まであと二時間。
幾ら日陰の中にいるとは言っても、喉が乾いてきた。
ただ、事前に購入していたペットボトルは持ち物検査で回収されてしまったので、場内で改めて購入するしかなかった。
しかし、アウェースタンド内コンコースには売店がなく、一番外のコンコースまで出て徘徊するが、売店は一つも見つからない。 売店があるのはホームスタンド内コンコースだけだった。

正直、兵糧攻めは覚悟していたが、飲み物すら与えられないとは思わなかった。
まだまだ日差しが強く、気温も高いバンコクでこの仕打ちは、アウェーの洗礼としては強烈である。

しょうがないので、ホーム側の係員に説明し、売店を利用させてほしい事を伝えるが、係員は対応に困っている。 まぁ、ホーム側にアウェー側の人間、それも日本代表のユニフォームを着た人間を入れるのは流石に抵抗があったのだろう。 そもそも、多分バイト君なので、そんな権限すらないのかもしれない。
何度か押し問答を繰り広げたが、一向に事態は進展しない。

ただ、ここで私は一つのアイデアを過去の観戦経験から思いつく。
それは

【鹿島式食料密輸入】

鹿島スタジアムでは、ホーム側で繰り広げられる食の祭典の恩恵を隔離されたアウェー側は受けることが出来ない。 そこで、ホーム側に放った密偵に商品を購入させ、それをアウェー側に受け渡すという行為が黙認されている。
この方式をアレンジし、係員に金を渡して代わりに購入してきてもらうのだ。

幸い、係員は喜んで依頼を受けてくれた。
正直、これ以上押し問答を繰り広げるのも面倒くさかったのだろう。 買ってきてくれた係員にはお礼とチップを渡し、時間はかかったが何とか飲み物を手にすることが出来た。

ちなみに、この出来事から30分後、アウェースタンド内コンコースにも飲物の売店が設置された。
ただ、喉が渇き切った日本人サポーター達が殺到し、とんでもない行列が出来、試合開始直前には完売していた。
それを横目に、私は回数を重ねるごとにスムーズになる密輸入を繰り返した。

日が徐々に落ち、スタンドも段々と埋まってきた。
外ではタイ代表サポーターが発煙筒を焚き、大いに盛り上がっている。
スタジアム内でも両ゴール裏、バックスタンドに分かれたサポーターが声を出し盛り上げていた。

非常にいい空気感である。

そうこうしている内に、日本代表のGK、続いてタイ代表、日本代表の全ての選手がピッチに姿を現した。 タイ代表の選手たちは全員手を合わせ、祈りを捧げてからピッチに入る。 そして、全員でランニングをはじめ、チームとしての一体感を感じさせてくれた。




それにしても、タイ代表サポーターは試合前から素晴らしい応援を繰り広げている。
特に両ゴール裏、バックスタンドの3か所で行う“コール&レスポンス”は迫力満点。 嫌味もなく、スタジアムの空気は完全にタイ代表の独壇場である。 正直、「代表戦・ホームスタジアムでの応援部門」においては完敗である。
サッカー文化がまだまだ脆弱だから、応援文化もまだ成熟していない。 だからこそ、良いものを直ぐに取り入れる柔軟性と積極性があるのだろう。 こういうフットワークの軽さは正直羨ましいし、日本代表のウルトラスにも個人的には参考にしてもらいたいと思う。
日本代表のスタメンが発表される。
ハリルホジッチ監督は前のUAE戦からスタメンを三人入れ替えてきた。
しかも、ある意味不動と思っていた岡崎慎司と清武弘嗣を外し、浅野拓磨と原口元気、 ボランチにはお気に入りの山口蛍を起用してきた。
そして、相変わらず香川真司はスタメンに名を連ねている。
背水の陣とも言われるこの一戦で、私は勝負を賭けてきたと感じた。実際は監督がどう感じているかは解らないけどね。

しかし、電光掲示板で一切選手名が表示されないのはかなりわかり難いなぁー…。


選手の入場が始まり、両国の国歌が流れる。
異国の地で聞く“君が代”は心に染みわたり、そして魂を震わせる。

スタンドでは相変わらず、タイ代表サポーターが盛り上がっている。
この日の為だけに用意されたと思われるマリオとドラえもんが描かれたピックフラッグ、大きな国旗、そして鮮やかなコレオ等々…。
この最終予選を誰よりも楽しみ、盛り上げ、自分のチームを勝たせたいと思っているのは間違いなくこのサポーター達だろう。

本当に羨ましい…。

私は嫉妬にも似た感情を持ったまま、試合開始のホイッスルを聞いた。


2016.09.06 タイ戦 -V-:「勝てばよかろうなのだぁーッ!」に続く・・・


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